昭和４４年１０月１８日　朝の御理解



　御理解　第４節
　『此方金光大神あって、天地金乃神のおかげを受けられるようになった。此方金光大神あって、神は世に出たのである。神からも氏子からも両方からの恩人は、此方金光大神である。金光大神の言うことにそむかぬよう、よく守って信心せよ。まさかの折には、天地金乃神と言うにおよばぬ。金光大神、助けてくれと言えば、おかげを授けてやる』

　「金光大神の言うことに背かぬよう、よく守って信心せよ」と。ここの所を信心の稽古を求めて、おいでになる感じですね。日頃の信心同時にただ今金光大神あって神が、天地金乃神のおかげを受けられる様になったと。金光大神様はおかげを授けて下さる事は、矢張り出来んのである。金光大神のお取次ぎによって天地金乃神様のおかげが、受けられる様になったと仰られる。おかげの大元は矢張り天地の親神様であるね。
　その事を金光大神が身をもっておかげを受けられ、また神様の御慈愛を受けられて、取次ぎの御用をして下さるようになった。取り次がせて下さるようになった。ですからおかげを取り次いで下さる。その為には金光大神の言うことに、そむかぬようにと天地の親神様が仰っておられますね。金光大神のおかげで私どもが助かる事が出来る様になった。その事によって天地の親神様も助かられる事になった。なるほど両方からの恩人は、此方金光大神であるという事が分かる。
　そんならその金光大神という方、いわゆる教祖様という方はどういう在られ方になられたから天地金乃神のおかげを受けられるようになったかと。初めからそう色々とむつかしい事を分かっておられたのではないのだけれども、たまたまとでも言うのでしょうか、とにかく天地の機感、天地の心というか、その心にぴったりのご性格。ぴったりの人間教祖の真情とでもいうか。
　天地の親神様が金光大神をだんだん鍛えもされ、またはお育てになったが、その根本のところに「この氏子ならば」と、天地の親神様がいうなら白羽の矢を立てなさった。それがどこのところを、教祖の神様のどこを、天地の親神様は見られたかということですね。　大変、特別にとりわけてどうというようなことはなかったけれども、これだけは教祖様の、まあ真情といったようなものが、そのいわばたまたま天地の機感にぴったりした、天地の心にぴったり適うものをもっておられた。
　これは生来非常に素直でおありになった。だから素直におありなっただけではなくて、非常に実意丁寧実意な心の御方であった。素直であられたという事実意であられたということ。同時に非常に働き手でおありになった。いわゆる身を惜しまない。いわゆる体惜しみをしない。その上実意であった丁寧であっ。同時に素直におありになった。そう言う様なもの、条件とでも申しましょうか。
　そういう条件がです、天地の親神様の心に適うものであったということ。先に金光大神の言うことにそむかぬよう、よく守って信心せよとなんと申しますかその、金光大神のそういう、まあ素晴らしいものを私どもがまずそこんところを分からしてもろうて。私どもはなかなか素直でない。実意丁寧でない。人一倍の働き手ででもない。体惜しみをしない私たちでない。体惜しみをする。
　出来るだけ楽なところ、楽な方を取ろうとする。そこんために楽なところを、楽にと思うから非常に要領がよくなる。だから、要領のよい人は、なるほど人には受けるかも知れんけれども、神様には受けないことが分かる。じつに要領のよい人がおる。昔兵隊さんなんか、もう要領のようなからな者じゃなからな成功はできん。もう要領の悪か者が一番惨めだと、まあ言われたんですけども。
　現代の、所謂世相から言うてもそう言う様なものが感じられますですね。人がしたつでんなんでん自分のしたつごたるふうに、よかこつならば見せかけようとする。所謂信心もほんとにその、づうからいかなきゃでけんと。私どももそれの、やはり欠けておるところをひとつ自分でも分からしてもろうて、教祖様のようにはいかんにしても、それを私は目指さなければいけん。
　要領よい自分になっちゃならんと。それは楽した方がよいけれども、本気でひとつ修行の第一として「楽はせんぞ」というくらいな気持ちにならしてもらうと。それから、実意丁寧でない。私どものしておる事言うておる事は、なかなか横着なことを平気でしておる。横着なことを思うておる。我がままが過ぎる。私どもの心から我がままな心と横着な心を取り除いた心が実意な心だと言われておる。
　そう言う様なものが教祖様の場合には、まあ微塵もお在りでなかったように思う。この位な事は当たり前と言った様なものを教祖のご信心の中から感じる所がない。私共は紺位な事は良かろうとか、こんくらいな事は当たり前と。おかげを受けても、矢張り当然の事の様に思う。そういう教祖様のご性格がですね、いうならばおかげが受けられる、人間が幸せになれれる天地の法則にぴったりしておったという事。
　願わんでも頼まんでもそういう思い方。そういう生活態度と言った様なものがです、神様の、天地金乃神様のおかげというのはね、おかげを下さるその大元は天地の親神様だけれども。親神様が下さるそのおかげというのは、天地の法則というかね、そういう法則に従った生き方におかげが受けられるのでありますから、私どもはまず天地の法則を知る。天地の道理を分かる。
　そしてその道理に合った生活をさして貰うという事になるんですけれども、教祖の場合はその天地の法則と言った様なものは、まあ知ってはおられない。ましてや天地の道理なんて言う様な事も知ってはおられない。けれどもその生きられ方そのものがです、天地の法則にぴったりするご性格を持っておられたという事。昨日私は「現代に生きる道」という隅田幸太郎先生の本が、お書物が百十年のそれにまあ出ております。
　それを今度、ここの御大祭の御直会にしたいと言うので、皆さん話し合ってこれを御本部に頼ましてもらいました。そしたら、すぐこれを、前に日に例えば今日電話掛けたら、もうあくる日にはもう送ってきた。急ぐからということを言うてあったから。気持ちがいいですね。私はこういうところも、あの何て言いますかね、我がままのない横着のないというようなふうな生き方の中にね。
　もうよかよかち言った様なもんじゃなくて、もう頼まれて「はい」と返事をしたら最後、もうその場でこれは実行しておられるから、本部のことは是がすぐあくる日は着いてるだと思うのです。それを例えば半日延ばし、一日延ばしてから言い訳をして「あっ済みません遅くなりました」と言った様な事を言うて、やらなければならないようなひとが非常に多い。第一そのそう言う所がですね、いわゆる実意丁寧が欠けとる。
　もうよかよかと思うそういうようなものが、横着な心なんですよね。私はこれを送って来たということに、あの、あんまり早く送ってきたからびっくりしましたが。もうこちらから注文をした、すぐ荷造りをした、すぐなら一番早い方法で郵送して下さった。一番早い方法で見とってから、こちらの言う通りのことをすぐにこう実行しておられると言う様な事。そげな事が私は本当に、特にこれはもう私を始め。
　合楽の人達は、身に付けていかなけれないけないと思うですね。たまたま私共がそういう実行したあとは非常に気持ちが良いです。私共大体だらしがないですから、もうよかよかで一日延ばしにする。手紙が来て返事を書かなきゃならん。だから手紙が来た返事を書かねばならんということになったらその場で書く。書いた時には気持ちが非常に良いけれども、ああ書かなならんばってんか、ならもんで頭がいつも持っておってそして三日も四日もして出す。場合によったらもう忘れてしもうとる。
　だからあい済みませんと言う、その断りをお客さんに言う結果になってしまう。教祖の神様の場合なんか、そういうようなものが微塵もなかったようにある。教徒社の方が送って下さった、私はこれなんかはもう、私はそれだけでも見習わにゃでけんなと今度思わしてもろうた。高橋さんにその事を話したことでした。それを実行するということは、非常に自分も気持ちが良いことだし有り難いことなんですからね。
　そしてこの、私この「現代に生きる」というものをまあだ私半分ちょっと読まして頂いたんですけれども。じつに此の方は、科学者ですからね。なるほど学者らしい表現で教祖の神様のご信心を語っておられます。教祖の神様のいわゆる生きられ方、お道のてんかいを求めて教祖様の生きられ方と。だから、お道のてんかいを求めるということは長く言われてきたんですけれども。
　まずそういう教祖様の、生きられ方というものをまず、身に付けていかなければいけない。今私が言おうとしておるところがここに、こういうふうに言うておられ書いておられますから読んでみましょう。『天地は人間を生かそう生かそうとしています。ただ人間には未知のことが多いのであります。例えば地震の予知は出来ませんから、天地は法則どおりに動いておるのですが。
　人間はその法則を知らないために災害を突然に受けて、天地は無常だと思われるようなことがあります。しかしこれは人間の側の責任であります。まして人間の欲、利己主義、金儲け第一主義のためにいろいろの公害を起こしているに至っては論外であります。天地は実意丁寧そのものですから法則を曲げたり、えこひいきはいたしません。しかし私達が本当に天地の法則に従った心の持ち方。
　生き方をさせて頂くと天地は人間を生かそう生かそうとしているのですから、私達の生命が生き生きとして奇跡的なおかげを頂くことになります。これがおかげを頂き、助かるコツであると思います。天地はひとりでも多くの人が助かることを願って止みません。ですから私ひとりだけ良いように見ようというようなことは法則に反します。信心をしているから神様が私だけえこひいきをして下さると考えているとしたら。
　それはナンセンスでありましょう』というふうな本に書いとられますが。天地は私どもには、おかげを下さろう下さろうとしておる。いわゆる私どもを、これは人間だけではない、生きとし生けるものを生かそう生かそうとする働きだけしかない。それを私は神愛だと、こう言うております。もうこの世の中には神愛だけしかない。それをどういうふうに隅田先生は言っておられるかというと、例えばね。
　私どもが住まっておる地球が太陽の周囲を回っておる。回りながら太陽の周囲を一年がかりで回わるわけですね。ちょうど三百六十五日かかるです、太陽の周囲を回る。それをたまには、まあ三百六十六日か七日でよかろうちゅうなこは決してない（笑）。もう必ず三百六十五日で転回すると。そのことがですね、例えばその太陽からね、いうならば少し離れただけでどういうようなことになるか。
　少し離れたらどういう事になるかというとですね、地球上の生物が全部凍死してしまうそうです。枯死するということは凍え死んでしまうそうです。それからというて、太陽の方へほんのちょこっとばっかり近づいたらですね、地球上の生物が全部焼け死んでしまうそうです。ニュースで去年か一昨年かですね、あの、あんまり暑いので、その、焼け死に状態で亡くなったというようなことがございましたですね。
　それが四十度くらいの毎日が続いたと。為にそのいわゆる焼け死んでしもうたと。と言った様な事があったんですけれども。ほんのそれこそもう僅かな違いであってもですね、そこん所を、いわゆる間違いのない所を地球が回っておると言う様な働きの中にですね、いかに神様が天地がです、私どもを生かそう生かそうということに実意丁寧一杯であるかということが分かる。何かそういうふうに説明しておられます。
　そういう例えば天地そのものが、実意そのものであります。ですからそういう天地の働きをですね、おかげを受ける為には、私共がどうでも実意丁寧神信心をしなければならないと。それを、たまたま教祖の神様はですね、そういう天地のそうした働きです、助けなければ止まんという、その働きをぴったり受けられる、受け物を持っておいでになられた。しかもそれがなら。
　だんだん神様からお知らせを頂かれて、そのお知らせどおりに仕りますと仰っておられるお知らせどおりに努められたり、受けておいでられたということが、いよいよそれを垢抜けしたものにして、天地金乃神と同根というところまで高められなさったということ。天地の、いわゆる法則といったような難しい事、天地の道理というような難しいことを知っておられたから、その通りのことをなされたというのではない。
　そういうご性格を持っておられた。そのご性格の第一が素直でおありになった。生まれつき非常に素直におありになった。十二才の歳に養子にお出でにられて、好きな物と嫌いな物をはっきり、向こうの養母、養母の方が聞いておられる。それに対してね、好きなことは好きなこと、嫌いなことは嫌いなことと、はっきり言うておられる。「私は、麦飯を食べるのが嫌いでございます」と言うておられる。
　遠慮なんかしておられません。素直じゃなからな言えん。言えるこっちゃない。次には、「神参りが好きだ」と言うておられる。神仏に参ることをです。休みの時だけでよいから参らせてくれということを養父母に頼んでおられます。そういう、いわばご性格の方でおありになった。ね。そういう素直さに、また、その加えてです、非常にこの陰日なたのないお方であった。一生懸命に働く。
　真心とは体惜しみをしないをことだとさえ表現して…、表現するとそういうことにすらなるのです。私はそう頂いたみ教えの中に、真心とは体惜しみをしないことだと。ですからとにかく、働くということに、もう、そのことを苦労としておられない。例えば神参りをしたいと思われると、例えば松葉掻きという、松葉の、あの、お拾いに、山に焚き物取りにお出でられる。
　そして今のその瓦屋ですかね、瓦屋にそれを売られる。普通の者は二回しか行かんのだけれども、教祖の神様は三回行かれた。そしてその一矢分を神参りのね、費用に使われる、というような生き方であった。人が三つ、二つ働く時には自分は三つ働こうとしておられる。今日は村も休みだから、村でいろんな事がありますと、村中休みますと、ご自分だけは全然、その、自分の仕事に関係のない村の。
　いわば道普請なんかを一生懸命なさっておられる。休んでは勿体無い。お天道様は、いわば夜も昼もなしにお働きを頂いておる。お天道様に対して相済まんといったような生き方。私どもはそれとは反対。嘘を言うてからでも休もうごとある。いわゆるそういうその、横着さというものが全然ない。そこで私どもには、そういう教祖様が生来、生まれつき持っておいでられたような、その素晴らしさがです。
　そのまま天地の法則にぴったり合っておった。おかげが受けられるという法則。そこでどうしても私どもはです、その実意丁寧とか、楽、だから修行としてはです、本気で「楽はせんぞ」という気にならしてもらう。私が頂いております中に、楽はせんぞという気になれ、楽はさせて頂けということ。自分から求めて楽をしようというような気になるな。神様の具合ようお繰り合わせを下さる。
　今日私、御神前に出らせて頂いたら、これはもう私の事だと思うんですけれどもね、あの、お芝居に勧進帳というのがある。武蔵坊弁慶が、あの射利状の杖ですね、杖を持ってあの、杖を前の方へ掛けて、こんな格好で決まっておるところですね。歩いておるのではない。杖をついて歩いておるのじゃなくて、こうやって決まって。神の杖をついて、いわば一服しておるというような感じなんですね。
　そのポーズが。その弁慶が立っとっておるポーズが、私がそれを感じますところはですね。まあ私が武蔵坊弁慶としますとです、神を杖について一服しておるということ。もう大祭も近づこう、近づいて、もう一日・二日後に大祭を仕えなきゃならん。なのに、その勿論私は、神を杖につかずには一服しない。そら、神を離すようなことはしない。神を杖につけば楽じゃと仰るのは。
　神を杖についていけばですね、歩きよい。山坂を登る時でも、杖をついていきゃ楽じゃと仰るのはそういう意味なんです。それを私は杖をついて歩きよるのじゃなくて、杖をついて休んでおるというような感じである。だから誰よりもぷっと飛躍することは出来るですね。さあ、もうこの位でと、心の中にけりがついたら、またその杖をついて歩いて行く。お互いが一服する時なんかは、神様を外して。
　杖を外して腰掛けておったり、一服したりしておるから、また新たに杖を捜さんならんという感じがする。神様をね、求めなければならんということになる。神様を離しきってしまっておる。神を杖につけば楽だけれども、それは歩いて行く時、神を杖についておればというふうに頂かなければならんのに、一服するのに私どもは神を杖について一服しておる。これはその神様が楽はせんという気になりゃ。
　神様がさせずにはおかんという働きを下さって、神様はちゃんと楽はさせて下さる。温泉にもやらして下さる。お芝居も見せて下さるね。眠りが足らんならばちょっと眠らせても下さる。それを自分が、いわば少し誤魔化して眠ろうとする。誤魔化して休もうとする。そういうところにです、そういう思い方とか考え方がすでに天地の法則を破ったようなもの。天地の法則を違反するからおかげの受けられない方へ、私どもがいつも心を動かしたりしておるという事になる。
　そういう意味でなら、教祖の神様の場合なんかはそういう横着な思い方をなさらない。横着をなさらない。いわゆる実意とはこうだろう、実意の権化のような御方であった。私どもにはそれが欠けておるから、そういう実意になろうという精進をしなければならない。手紙が来たなら、それに返事を書かなければならんものならば、その場で書かせて頂くというような、私は精進こそがです、些細なことですけれども一時が万事にそういう精進が、もうよかよかとかいったような、それが天地の法則に適わない。
　同時に私どもは素直でない。口では「はい」と言うとるけれども、心ではそれよりも反対のことを思うておる。それをむきに出して、あなたはそう言いなさるけれどもと言うてそれを押し返すようなことをする。素直であるということが、天地の法則におかげを受けるためにはどのように大切なものかということが教祖のご信心から思うて分かる。素直心のひとつにて雲の上までも登る道が開けると言われてあるくらい。
　その素直さだけではなくて、その素直な心で実意である、丁寧である。その上にです、体惜しみをしない。楽をしようと思わない。ね。こういう事が天地の心にぴったりするんです。天地の法則にぴったり合うのです。金光大神はそのような御方であり、そのような性格をです愈々神信心によって、それを愈々最高なもの、天地金乃神と同根というところまで神様の御信用を獲得しておいでられたところにです。
　まさかの折には天地金乃神と言うにおよばぬ。おかげを下さるのは天地の親神様なんだけれどもです、金光大神助けてくれ「金光さま」と唱えればおかげをやる、とこう言うておられる。ですから、おかげを頂く時だけ「金光さま」と、言うのではなくてです、その前に、金光大神の言うことにそむかぬよう、よく守って信心せよと。ここんところが、私どもは大事だということです。
　そら、金光大神はいろいろに教えておって下さってあるですね、御神訓、御理解がそうである。けれどもです、それも沢山ありますけれども、金光大神の言うことにそむかぬようということよりも、金光大神の御心、金光大神の在られ方そのものを私どもの生活の上に頂こうと努力する精進。まず素直になる。体惜しみをするまい。実意になる。そしてその素直とか実意とかね。
　体惜しみをしないというその三つの事を取り上げてみるとです。成程教えはいろいろ分かってきたろうけども、肝心要の教祖のその心の中に備えておられたそういう心になろうと努めていない私を。実意でない。素直でない。体惜しみをすると。その、そこんところを外して教祖の神様が仰ったことを聞いたところでです、それは聞いたことにはならんと私は思う。ここのところの三つをまず。
　金光大神の言うことにそむかぬようという前に、金光大神の御心の中にあるそれを私どもの物にしようとする、精進がまず第一だ。しかもその三つの事をです、ぴったり天地の法則というかおかげを、天地は例えばもう生かさなければおかん、おかげをやらなければおかん、幸せにせねばおかんという思いだけなのだ。それを私は神愛とこう言うておる。神愛だけしかない。
　そういう素晴らしい神愛の中に、生かさなおかんという働きの中にあってもです、私どもがそういう神様の心というか、金光大神の心と言った様なものを外しますとです、それがおかげの受けられない元になってしまう。ここのところをです、すべてのことにです、私どもは行の上に表していかなきゃいかん。私どもが、素直でないような心が起きるけれども、「こげなこっちゃいかん。」
　ここがほんとに素直にならんならんとばいなあと思うて「はい」と言うということと同時に体も心も。そこにもっていく精進をしなければいけん「ははあ、こんな時が自分は、体惜しみをしよる時ばいなと思うたら、ちったあきつかってもそこんところをスキーッとした心でです、その事が出来るようなおかげを頂かなきゃならん。そういう時に要領を使うようなことでは、その法則に反する。
　おかげを受けられる法則に反することになる。どんなに天地が生かそうとしておられても、生かすその働きを受けることが出来ない。真心とは体惜しみをせんことだとさえ言われとるのですから、体惜しみをね、心の中に「誰かするくさい」といったような時にはです、それを修行と思うて、体惜しみをせずに、そこんところを実行していくといったようなです、そういう金光大神の生きられ方の。
　根本になっとるようなものをまず身につけて初めて、金光大神の言うことにそむかぬように、よく守って信心すということはそういうことだと私は思うです。それが出来て初めて「金光大神助けてくれ」ということになればです「天地金乃神と言うに及ばん」と仰るのじゃなかろうか。まさかの時に「金光様」ち言うたけれども、おかげ頂かじゃったというのは、日頃に金光大神の言うことに背いておるから。
　金光大神、これはっきり助けてやると仰るの。金光大神助けてくれと言や助けてやると仰るのに、助けられないといったようなことになるのじゃなかろうか。「おかげを授けてやる」と、神様は、ここに最後に「おかげを授けてやる」と、神様はおかげを授けてやる、その全てをお持ちになっておられる。授けられるものを持っておられる。けれども、私どもは法則に従わない。法則を間違える。
　そこから授けられるおかげが全部どこからか漏れてしまうような結果になっておると、私は思うのです。この方生神金光大神のおかげを私どもが頂く、天地金乃神様のおかげを金光大神のお取次ぎをいただいて頂く前に、金光大神の生きられ方というもの、金光大神はね、そういうおかげを受けなければならんから実意であったり、体惜しみをしなさらなかったのじゃない。
　そういういわば権化のような御方であったと、私どもは知らなければならん。所が私共にはそれが欠けておる。欠けておるからそれを私どもの真情にしていく精進、努力をしなければならない。最近盛んに言われます「金光大神の生きられ方、そのものが金光教の御教えだ、教典だ」と言われておりますがです、その生きられ方の根本になるものが、私が今日申しましたようなことじゃなかろうかと。
　こう思うのです。だからそこんところをです、私どもには欠けておるまたは無い。その無いものを欠けておるものをです、私どものものにしようとする精進。その精進、そこから私どもがね、教祖のみ教えがほんとに分かってくる。そういう精進をさして頂いておって初めて、私は、まさかの時には金光大神と、いわば金光大神ということも要らん。金光様の金の字だけでもよか。いや心の中に思うただけでもよか。「あっ!」という間の事なんかがあります。瞬間的なことがあります。
　「金光様」と、例えば言えない程しに火急な場合もあります。ね。そこんところをです、私と神様に縋る心というものが、金光大神の生きられ方、ご性格といったようなものを自分の性格の中に頂こうと努力する。私どもに無いのですから。それを頂こうと努力する。そういう精進にです、私は喜びの輪。有り難いものが頂けれる体験を頂いていったらだんだんそれが一歩一歩づつ金光大神の生きられ方に近づいていくことが出来るのだというふうに思うのです。
　さっきも申しましたが、手紙が来た。返事を出さなければならんものであるならばです、ほんとにその場で私は返事を書くような生き方。そら自分の性格にそういうものが無いから、押しやり押しやりでいく性格で、私のような性格ですけれども、けれども実行したその後の気持ちのよさという体験をです、私どもはいよいよ生かして、自分に欠けているもの。そういうところを頂いていく稽古がまず大事じゃないでしょうかね。
　　　どうぞ。